第7章 ブレインフォグを治療する
線維筋痛症の多くは、ブレインフォグと呼ばれる認知的問題に苦しみます。この問題には、
- 忘れやすい
- 困惑する
- 集中力が低下する
- 理路整然と話すことができない
などがあります。原因は様々で、例えば以下のようなものがあります。
過度の努力:積極的過ぎて、体力の限界を越えて生活している 疲労:疲れていると頭の回転が遅くなります 睡眠不足:回復睡眠を取れないと頭が混乱します。 刺激過度:知覚情報が多すぎ、または複数からの情報 並行作業:同時に複数の作業をしている ストレス:ストレスは通常、FMの症状を悪化させます 薬:薬の副作用で頭が混乱し、ふらふらします
この3~7章で論じた他の症状と同じように、ブレインフォグには、戦略の組み合わせと新しい習慣を身につけることで対処します。
以下の戦略は、ブレインフォグ問題と闘うことに焦点を合わせていますが、他の症状をコントロールしようとする試みもまた、ブレインフォグをコントロールするのに役立ちます。
治療法
認知的問題は時々 Provigil(modafinil) などの興奮薬を使って治療されます。しかし、これらの治療薬はプッシュ・アンド・クラッシュの繰り返しを引き起こす可能性があります。以下に、薬を使わないでフォグを吹き払うための13の戦略があります。
1. 休憩時間
認知的問題は過活動が原因で引き起こされることがあります。我々のプログラムの受講生が言いました。
「体力の限界を越えるとブレインフォグが現れるので、それで休憩が必要だと分かります」
一部の人々は、ブレインフォグを終わらせるのに、短時間の休息を取れば十分かもしれません。
2.過剰な刺激を避ける
雑音、光、あるいは複数源から同時に来る感覚入力(例えば、テレビをつけたまま話し合おうとすること)に敏感であるならば、話をしている最中はテレビを消し、静かな場所に移り、気を散らすものを避けて、感覚入力を制限してください。
3. 一度に一つのことをする(並行作業を避ける)
FMの多くの人々は、一度に複数のことをしようとするとき、例えば、テレビを観ながら読書する、あるいは夕食を作りながら電話で話す、などのときに、ブレインフォグが現れます。
解決策は並行作業をせず、一度に一つのことだけをすることです。邪魔が入らないために、家族に、「私は、今夕食を作っています(電話に出ています、など)。でも、これが終わったら、すぐに手伝います」のようなことを言って、待ってもらうようにしてください。
4. ストレスをコントロールする
ストレスはブレインフォグを引き起こすか、あるいは強めます。ストレスが多い状況を避け、ストレスに応じてリラックスすることを覚え、アドレナリンの生産を減少させるように訓練することで、ブレインフォグを軽減できます。詳細は第18章の「ストレスをコントロールする」を見て下さい。
5. 薬の副作用がないか調べる
薬の副作用で頭が混乱する可能性があります。あなたがこれに当てはまるかもしれないと思うならば、薬の投与量レベルを調整する、あるいは他の治療薬に切り替えることについて、主治医に相談してみてください。
6. リストやリマインダーなどを使う
To Doリスト(やるべきことのリスト)に、その日にする作業を全部書いてください。あなたの記憶を呼び起こすように、目立つ場所に付箋を貼ってください。
作り付けのリマインダー(思い出させるもの)になるように、家の中と所有物を整理してください。例えば、服を着るところに薬を置きます。そうすれば、朝起きたときと、夜寝る前に、自然と薬が目に入って、忘れずに服用できるでしょう。
手の甲にマジックで書くのも有効
7.整理して片付ける
あなたの環境があまりにもひどいと思うならば、家の中を整理して、散らかっている物を片付けてください。
8.ルーチン(習慣)を使う
ルーチン(習慣)を使って、予測できる生活を送ることで頭の混乱を減らしてください。毎日同じやり方で同じことをします。例えば、帰宅したら、カギを必ずハンドバッグに入れてください。もしブレインフォグが朝に最も酷いならば、前夜に衣服を用意してください。
9. 一日で最も良い時間帯を選ぶ
頭がよく働く時間帯に、集中力と知的明晰さを必要とする作業をします。一日で最も良い時間帯は人によって異なります。多くの線維筋痛症患者は、朝が最も良い時間帯だと思います。
あなたの最も良い時間帯を見付けてください。
10. 作業を延期する、切り替える、あるいは活動を中止する
きちんと物を考えられないならば、頭を使う事を延期するか、もっと単純な作業に切り替えるか、あるいは休憩してください。
我々のプログラムの一人が言いました。「あまりにも疲れと、もやがひどすぎて考えられないときは、次の日まで先延ばしにして、代わりに臨時休息(いつもより長い休息)を取ります」
11. 何か体を使うことをする
身体活動をすれば、エネルギーが増し、気持ちがすっきりします。身体活動は、運動をはじめ、笑う、歌う、深呼吸するなどの活動があります。一部の人々は、栄養素の欠乏が原因で、頭にかかったもやが引き起こされるかもしれません。正しい摂食によって、思考の不明瞭さを阻止できます。
(無意識で呼吸が浅くなっている事が多く深呼吸をマメにすることは症状を軽くするします)
12.心の中のつぶやきを変える
ブレインフォグがあると、時に恐ろしくなり、困惑することがあります。多くの学生が、頭の切れがないときに、自身に、そして時には他の人に、安心するように、あるいは快活に話しかけるようになったと言います。何かをしなければならないという考えで落ち着かないのならば、試しにのんびりしてください。心の中のつぶやきを変えることの詳細は第31章を見てください。
13. どう対応するか計画する
前もって、ブレインフォグにどう対応するかを計画します。もやに困惑したときに、あなたを導く幾つかの規則を作ってください。そうすれば、対応が取れます。例えば、もやに対応するために、横になると決めてもよいし、あるいはそれほど負担の大きくない作業に切り替えると決めてもよいです。
以下は、一人の女性がどのように認知的問題に対処するかを記述したものです。 ------- 私が疲れ切っているときの頭にかかったもやは最悪です。それで、私は体力の範囲内にとどまろうとします。私がこのことを学んでから、頭のもやは大幅に減りました。 ここ数カ月の間、私は家の中をきちんと整理してきました。整頓はパニックともやを防ぐのに役立ちます。そして、あまりにも疲れと、もやがひどすぎて考えられないときは、次の日まで先延ばしにして、代わりに臨時休息を取ります。 私は心の中のつぶやきも使います。 「じきに過ぎるでしょう」 「今これさえしなければ、最悪のことは何も起きないないでしょう」 と心の中でつぶやきます。 これは、私がパニックモードに入るのと、完全に駄目になることを阻止してくれます。 私がくたくたになってしまう前の午前中は、頭がよく働くので、脳に負担がかかる活動をすべて午前に予定して、午後に単純作業をします。また、私は2、3時間ごとにタンパク質を少しずつ食べます。 ーーーーーーーーーー